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海外拠点の闇~不正リスクポイントと対策 14

中国ビジネスレポート 組織・経営
小島 庄司

小島 庄司

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2022年9月26日

【部門・領域別】不正はここで起きる【営業部門】リスクポイント編

次は営業部門にメスを入れていきましょう。

■ 営業でありがちな不正のパターン

営業でありがちなのは出張不正です。

パターンはいくつかありますが、不要な出張機会をつくる、出張していないのに行ったことにする、そして出張先で自社以外の商品を営業する、あたりがメジャーな手法です。

「え?」と思う方もいるかもしれませんが、出張先で自社商品じゃないものを営業している営業社員は割といます。本人や友達が何かの代理店をやっていて、会社の金で出張して各地を回るついでに自分の商品も売ってくるわけです。

ひどいケースだと、自社製品より3割ぐらい安い国内系同業他社の製品を持って行って売っている。自社のセールスパーソンが、自社の商品よりおすすめと言って他社製品に誘導しているなんて信じたくないでしょうが、あり得ます。会社で全部のコストを負担してライバルの商品を売り歩かれるなんて、とんでもない話ですけどね。

#残念ながら日本人の拠点長や上司が首謀するケースさえあります。

それから手当の水増し。不正出張と同時に発生しがちなのは、ホテル側と結託した宿泊費の水増しです。ホテル側は定宿にしてもらえるという利点があり、互いに結託する動機があります。

これはホテルへの当局調査で領収書の不正発行が発覚し、当局から利用者である会社に照会が来てバレたりします。管理が厳しくなって今はやりにくくなったかもしれませんが。

また、営業にはフレキシブルな勤務を認めているところも多いですね。客先への直行直帰はもちろん、普段は出張が多いのでペーパーワークはほぼ週末の自宅作業になっている場合もあります。

その週末の自宅作業に残業代をつけていませんか。営業なんだからそういうこともあるだろうと思ってチェックを怠っていると、年間に何百時間という週末残業が発生しています。

週末残業の手当は法律で決まっていて、給与の200%を支給しなければなりません。毎週末に16時間ぐらい仕事したことになっていると、給与×200%ですから、年50週で結構な副収入です(例:月給が22,000元の場合、日額換算で約1,000元。1000元×16時間(2日)×200%×50週=20万元)。

この「見えない過剰残業」の問題は、会社のコスト負担だけでなく、人事制度や上司評価が無効化される点にあります。皆さんの会社の人事制度、評価結果によって本人処遇が年20万元以上変動しますか。しないとしたら過剰残業=給与詐取で稼ぐ方がはるかに得で楽です。

■ こんな悪質なケースも

悪質なものでは、販売代理店との結託というケースがあります。特に営業担当個人に売上と連動したインセンティブをつけている会社は気をつけてください。

こんな事例があります。自分の会社は売上連動の賞与の割合が高いことに目をつけた社員がいました。そろそろ他の会社に移ろうかなと考えた彼は、転職前に大金を得ようと画策し、代理店と結託しました。

まずは代理店に自社の商品を大量に売ります。売上が立っていますから、それで今季の賞与はドカンと上がるわけです。で、賞与をもらったらその月末で辞めます。

2~3か月後、代理店から会社に連絡が来ます。「売れなかったら返品可って言われている在庫があるんだけど、そろそろ送り返していい?」。

実は架空の売上ですから、賞与詐取ですね。もちろん代理店もグルです。本人から代理店の個人にも何らかの見返りが渡っているでしょう。数千元、数万元で済めばいいですけど、インセンティブをドーンと個人につけている会社だと、仕組みを悪用されることがあります。

 

(続く)

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