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海外拠点の闇~不正リスクポイントと対策 15

中国ビジネスレポート 組織・経営
小島 庄司

小島 庄司

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2022年10月20日

【部門・領域別】不正はここで起きる【営業部門】対策編

営業の不正対策に関しては、どう防止するかという観点だけではなく、どうやって自分のビジネスで営業機能を使っていくか、どんな営業チームにしたいのか、どうやって適切な人材を入れて育てていくかがポイントです。いまのメンバーをどう牽制するかは枝葉末節に過ぎません。今回は少し本質的な話をしたいと思います。

■ トップ営業の功罪

売上が立っているトップクラスの営業に対しては、多少のズルがあっても会社は目をつぶりがちです。

これは会社の考え方なので、私も一概にキレイごとを言うつもりはありません。「会社に十分な利益をもたらしてくれるなら、本人の多少の不正当行為には目をつぶる」という経営者と、「不正はダメ、その代わり過度な個人ノルマも課さない。チームで動いてくれればいい」という経営者、どちらもいるでしょう。

トップ営業のズルに目をつぶることのリスクは、引き抜かれたら終わり、ということです。

中国において、営業人材の引き抜きは非常に露骨です。昨日までA社の製品を売っていた人が、急に同業他社の製品を売りに来たりします。

会社の立ち上げ期にゼロからいきなり独自の仕組みで動かすのは難しいので、敏腕の営業人材を入れて、片目をつぶりながら会社の基盤を固めることはありだと思います。起爆剤として使うことまでは否定しません。ただ、どこかで切る(切り換える)覚悟をして使わないと危険です。

■ 一人のエースに依存したチーム

トップ営業は、自分の仕事をブラックボックスにして、独自の人脈で稼いでいます。誰にもシェアしません。部下も育たない。その結果、一人のエースに依存したチームが出来上がります。

トップ営業に依存していると、彼/彼女が引き抜かれたら会社には何も残りません。ライバルに行ってしまえば自社がマイナスになるだけでなく、ライバルにプラスが生じます。呂布みたいな存在です。劇薬ですね。

私なら、最悪の時のダメージを考えると、営業ノウハウを自社に残すやり方を選択します。ノウハウをコントロールタワーである会社(成功報酬ではない安定的な処遇形態の責任者)の方に移していき、その時も属人化しないよう、情報を会社に蓄積できる仕組みを整えます。

が、これが唯一無二の策ではないとも思います。

■ 中国人の売る力はトップクラスか

中国ビジネスにかかわった方は誰でも、中国人の売る力はすごいな、と思ったことがあるのではないでしょうか。

あの手この手で売り込んだり、びっくりするような交渉能力を発揮したり、優れた営業力を持っています。新興企業を見ても、広げていく力は本当に強いです。商機を逃さないし、貪欲だし、失敗してもめげないし、すごいと思います。

ただ、長い目で見たときに、それが経営を持続できる利益になっているかというと、意外とそうでもない。瞬間的な爆発力は世界でもトップクラスだと思うんですが、ではアメリカのように育てた事業をパッと売ってキレイに勝ち逃げしているかというと、中国企業はちょっと違いますよね。尻すぼみになり、消滅したり買い叩かれたりしています。

これを「売る力」といっていいものか、特に私のように守りを重視する経営者は、半分は認めるけど、本当のところはもう少し時間が経たないとわからんな、という感じです。日系のようにじっくり育てて長く果実を得ていきたい会社には向かないかなとも思います。

■ 経営体力ができたら基盤固めを

弱小から立ち上がる時には、過渡期として一人のエースが支える形態もあるでしょう。でも、ある程度の経営体力ができたら、そういう慣習に染まっていない人を入れて、ノウハウを会社に蓄積していく方がいいと思います。いま私がリモートでも安心して社員に仕事を任せられるのは、まさに個人依存をひたすら否定してきた結果でもあります。

営業部門は、労務の観点では改革やスタイルの変更がしやすい組織です。ちょっと財布の紐を締めるだけで、もう旨味がないと悟った人は去り、メンバーが勝手に入れ替わっていきます。いろいろ問題が起きやすいものの、組織の新陳代謝や改革はしやすいとも言えます。

この「個人に依存しないチームづくり」は、私が最近、重視しているテーマでもあります。「OKY(お前が 来て やってみろ)」大歓迎ですので、議論相手・プロジェクトの刺激役がほしいときは、声を掛けてくださいね。

(終わり)

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