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海外拠点の闇~不正リスクポイントと対策 18

中国ビジネスレポート 組織・経営
小島 庄司

小島 庄司

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2023年1月13日

【部門・領域別】不正はここで起きる【工会】

部門別に不正の発生しがちなポイントと対策を見てきました。今回は番外編②として、工会の不正についてお届けします。

■ 工会に関わる不正

最後に工会です。工会というのは日本の労働組合に似た組織です。建前としては経営から独立した組織なので、何をやろうと会社が口出しすべきじゃないと思う方もいるでしょう。

しかし、中国の工会と日本の労働組合には大きな違いがあります。

日本の労働組合は、経営からの独立を保つために、会社が運営経費を出すことは法律で禁じられています。組合員が会費を払って自分たちで運営するという形です。

ところが、中国の工会は会社が活動経費の支出を義務づけられています。工会関連の規定で「会社は従業員の月給の2%を工会経費として上位団体に納付する」と定めています。地方により異なる場合もありますが、納付した工会経費の60%程度が会社の工会に戻ってくるという仕組みです。

駐在員を含む現地の全従業員の給与の2%ですからバカにならない金額です。数万元、数十万元、溜まっちゃうと数百万元。これだけの金が集まれば、当然いろいろな可能性があります。

工会幹部の飲み食いに使う程度なら可愛いものですが、金額が大きいとそうも言っていられなくなります。

会社と敵対していた工会役員が、関連当局への付け届けに使っていたというケースもありました。会社と役所の関係を円満にするためじゃないですよ。自分が会社から不利な扱いを受けたり会社との闘争に至ったりした際、自分の後ろ盾になりそうな役所にコネをつくっていたんです。

また、工会主席(工会のトップ)や役員は、全工会員の選挙で選ばれるため、自分たちの票固めに金を使っている場合もあります。

会社が出した金を資金源にして会社に敵対する行為をされていては、自傷行為もいいところです。だから、建前のキレイゴトで「工会は独立組織だから」なんて言っていてはダメです。

■ 日本人が工会に及び腰な理由

日本人が中国の工会について注意しなければならないのは、つい日本の労働組合やアメリカのユニオンと同一視してしまうことです。

工会は労働組合ともユニオンとも似て非なるものです。労働組合やユニオンは、資本側から労働者の利益を守るために労働者が結成した、資本側と対等に交渉するための組織です。ですから、法律でも経営の介入を禁じています。

経営者が労働組合やユニオンを私物化できてしまっては存在意義がなくなるため、会社からの利益供与も禁じられています。最小限の電話やスペースを貸す程度は認められていますが、社用車を使わせたり豪華な個室を用意したりすると取込行為になります。

日本人はそういう前提でいますので、工会に対しても基本的にアンタッチャブルなものと思ってしまうんですね。

ところが、中国の工会は活動経費を会社が出しています。この時点で組織の成り立ちが根本的に違います。

確かに法律では工会は会社から独立した組織とされていますし、日本の労働組合と似たようなルールもありますが、会社が費用を出している以上、バカ正直に不可侵なんて言っていては足元を見られます。

■ 工会の不正を防ぐには

もちろん会社が直接的に工会を管理することはできません。健全な工会活動にまで全部口を出せということでもありません。

でも、「工会資金は従業員全体の福利のために会社が出しているのですから、会社にも使途を見せてくださいね」とメスを入れていくのはアリだと思います。

具体的には、「場合によっては会社が協力できることもあるかもしれないし、共同名義でできることもあるかもしれない」と言って、どういうことに毎年使われているのか見せてもらえないか、と工会に申し入れをします。

会社には工会の帳簿を査察する権利はありませんが、経費を拠出している以上、どういうことに使われているか知っておきたいと考えるのは自然な流れです。

工会は拒否できますが、拒否されたら会社としてもアタリがつきますよね。権利はなくても、「え、なんで見せてくれないの?」と聞くのは自由です。

「帳簿は工会のものだから会社に見せる筋合いはない」などと答えてきたら、「そうなんだ。じゃあ会社には見せなくてもいいけど、工会の会員には開示してるよね?え?開示してない?それっておかしくない?」と突っ込んでいけます。

工会トップが非協力的なら、一般会員の皆さんに働きかけてもいいでしょう。「会社としては、せっかく加入しているんだから費用は有効に使ってほしいし、支援できることはしたいんだけどね〜。みんな、何に使われているか知らないの?本当に?変な話だよね〜」と突いていく。

決定的な強制力はなくても、こんな感じでチクチク言い続ければ、さすがに工会役員も好き勝手はできなくなります。

あるいは、会社の経費で開催していた忘年会、運動会、社員旅行などがあるなら、工会と共同でやりませんかと持ち掛けてもいいでしょう。そもそも従業員の福利が目的の活動ですから、経費も負担してもらえます。

これも渋るようなら「なんで?予算がない?何に使ったの?」と聞けます。

もちろん、健全に活動していて快く帳簿を見せてくれるなら素晴らしいことです。会社がサポートできる部分はぜひ支援してあげてください。

要は、反経営活動のために資金が使われたり、一部会員の私的な飲食や付け届けに流れたりしないように、最低限は見ておきましょうという話です。

特に日本人は、工会に会社から何か言ったら法にひっかかるかもと腰が引けている部分があるかもしれません。金を出している以上、経営にマイナスになる動きに対しては、いろんな工夫をして潰していくべきです。

(続く)

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