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中国ビジネスレポート 税務・会計
王 穏

王 穏

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2008年11月29日

記事概要

終身雇用・年休・外貨取引に関する特別注意事項、代表処収入の税務リスク、特許等使用料の徴税、外国企業の中国内での財産譲渡、税負担が増加など。

  終身雇用・年休・外貨取引に関する特別注意事項

  「労働契約法」及びその実施条例、「年休条例」及びその実施弁法が施行され2008年も残り1ヶ月ほどになりましたが、経営者、管理者の皆さんに、再度以下の事項について特に注意していただきたいのでご参照下さい。

 

            よく誤解されますことは「労働契約を2回更新したら終身雇用になる」という言い方で、実際は、2008年以降に入社した従業員及び契約を更新した従業員については2008年度の契約締結・更新が1回目となり、2009年に「再更新した場合、実質的な終身雇用」に切り替わることになってしまうため、2009年1月に契約が期限を迎える従業員については、契約更新により終身雇用になるため、企業としては決断を迫られる時期である。

(世界経済危機、雇用問題の深刻化によって、行政当局等は無期限の労働契約イコール終身雇用ではないと言っておりますが、労務トラブルにおいて敗訴率の高い企業にとっては、イコールに聞こえます。)

 

           年休条例の実施弁法については、年休取得資格、年休累計計算年数において、労働者の待遇向上のために企業に負担を押し付けているのではないかという声も聞こえますが、12月中に従業員に年休を消化させなければ、3倍の買い取り義務が発生してしまうため、計画的に消化させる必要があろう(諸外国とは異なり、中国ではまた年休制度を導入したばかりであるため、会社主導で年休を「按配(指示)」することができる)。

 

  外貨管理局の200872日付け通達、20081030日付け通達においては、①輸出の場合の前受け金、②輸入の場合の90日後の延払い、③輸出の場合の90日後の入金、④輸入の場合の前払い金について、いずれも登記が必要となるため、国際取引が発生している企業では念のために登記が必要かどうか、また登記が必要な場合には、登記を完了しているかどうかの確認が必要となる。

 

 

 

代表処収入の税務リスク

中国の税務機関は、代表処の税収を監督管理する際に、代表処の営業収入及び外国籍従業員の賃金収入に重点を置いており、代表処としては、営業収入で得た活動をできる限り連絡、調査等の非営業活動にしようとするものの、税務機関は代表処の「営業収入」として、徴税しようとする。

 

代表処の収入について、税務面で生じ得るリスクは次の通り。

 

 

収入名目

収入の取得方法

リスク

1

親会社が経費名目で代表処に支払う

代表処が親会社の海外関連会社にサービスを提供する

当該関連会社と親会社で決算を行う

親会社が経費名目で当該収入を代表処に支払う

 代表処の人員が実際にサービスを提供した営業税を徴収されるリスク大

  当該サービスを代表処の親会社への情報提供とするリスク軽減

 

注:       代表処がサービスを提供したかどうかについての税務機関の判断基準は、サービスの具体的業務が代表処の人員によって行われたかどうかというもの。

2

立て替え金

代表処が親会社の関連経営活動のために立て替えた費用

代表処は親会社に代わって費用を立て替えること(翻訳料等)が許されているが、税務機関は立て替え金に対する監督管理を強化し続けている。

 認可されている範囲を超えた立て替え金については、親会社が代表処を通じて経営活動を行っていると判断され、徴税される可能性がある。

 

 

 特許等使用料の徴税

『企業所得税法』によると、外国企業の中国における子会社又は関連会社からの使用料(技術使用料、特許・実用新案・意匠権使用料等)徴収は、中国で源泉所得税(10%)を納付しなければならない。源泉徴収金額については、以下の点に注意が必要。

 

税務機関が決定する税額控除範囲

対応

注意点

1)    特許権使用

2)    特許等業務関連費用:技術資料費、研修費、関連サービス費

技術資料費の金額が高い場合は、当該資料の提供事項については、単独で貿易契約を締結し、中国内の会社が貿易代金の名目で外国企業に支払う。

研修費が、外国技術者の費用支払いに及ぶ場合は、国内で一部金額を清算して、納税金額を減らす。

単純な技術人員の派遣で中国内の会社に技術援助を行う場合は、当該技術援助費用は、地方によっては税務機関に労務費用と判断され、個人所得税の納付を求められる恐れがある。

 

 

 

 

 コンサルティング、管理、研修費の所得税源泉徴収を強化

ここ数年、コンサルティング費、管理費、研修費等の名目での対外支払いが増えており、税務機関はこの種の費用に対する監督管理を強化している。つまり、外国企業が中国内で上述等の業務に従事して得た収入については、税務機関は、中国の支払い者を指定して、費用支払い前に所得税を源泉徴収する権利を有する。

 

コンサルティング費、情報費等の名目での対外支払いされた外貨については、以前から税務機関も所得税の源泉徴収を要求していたが、新『企業所得税法』の実施に伴い、税務機関のより主体的な監督管理が認められ、また源泉徴収義務者を指定する権利、徴収する際の計算根拠/方法等を決める権利、源泉徴収金額を事前に税務申告するよう求める権利等が与えられた。

 

外国企業の中国内での財産譲渡、税負担が増加

新『企業所得税』では、外国企業が中国内で財産譲渡して得た収益に関する課税所得額を計算する基準が変更になっており、所得税負担が増加する可能性がある。

 

旧外国企業所得税法実施細則

『企業所得税法』

注意点

財産譲渡收益

譲渡収入財産取得原価

 

例:  取得原価:1000

減価償却:300

純額1000300700

売価:1200

譲渡所得:12001000200

財産譲渡收益=譲渡収入財産純額

 

例:  取得原価:1000

減価償却:300

純額1000300700

売価1200

譲渡所得:1200700500

 旧実施細則では、外国企業が財産譲渡して得た収入が当該財産の取得原価を下回る場合は、納税しなくてもよい。

一方、新『企業所得税法』では、納税義務が生じる可能性あり。

 中国内で設立された生産型外国企業は、財産権を持つ工場を処分する際に、固定資産、無形資産及び繰越資産の減価償却の計算に注意し、財産取得原価の減価償却割り当て額を減らすことが必要。

 

 

(2008年11月記・2,451字)

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