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組織老化の錆を落とす…錆の落とし方 続

中国ビジネスレポート コラム
小島 庄司

小島 庄司

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2020年6月17日

仕事柄、世界各地で戦ってきた仕事人のお話を伺う機会がたくさんあります。北米・欧州・中東・南アジア……。現地で企業を立ち上げ、奮闘してきた方の話を聞いていると、組織づくりの原理原則は同じだなぁと再認識します。チーム優先の規律を確立する労務、一人一人の個性や特長を活かしながら成長を支援する人事。労務人事を動かすリーダーシップとマネジメントとコミュニケーション。

もちろん各地の特性・個性もありますが、多文化を背景としたチームを一つに束ねるという点は、どこの地域・国でも同じです。本稿はそんな組織づくりの原理原則を、生じがちな課題の観点から書いています。

アジア現法の共通四課題(人と組織)
□経営の一貫性の谷:短任期で継承できず
□誤った現地化の闇:ブラックボックス化
□組織老化の錆:守旧化し挑戦や活力を喪失
□意思疎通の壁:相互理解を妨げる三要因

前回は、組織老化の課題について、どう解決していくか、老化の進行度合いから考えはじめたところでした。この問題は気づくのが後手に回りがちなので、深刻な方から逆に見てみましょう。

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●組織老化の進行度合い
①まだほとんど錆がない
②錆びているが落とせば大丈夫
③一部腐食が進行している
④全面的に腐食が進行している
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④全面的に腐食が進行している

腐食が全面的に進行している状態とは、錆を落としたり補修したりするよりも、廃棄したりゼロからつくり直したりする方が早い状態。シロアリに全面的にやられて柱も基礎も梁もボロボロのスカスカになった家、腐食でそこら中に穴が空いた船などのイメージです。

組織でいうと、幹部たちが会社の業績や資金繰りなどそっちのけで、自己利益の追求と保身に明け暮れている。ルール違反や架空残業が常態化し、慢性化した赤字から脱却できる糸口がない。経営者に改革の必要を訴え、孤軍奮闘していた管理者が、周囲からの執拗な攻撃と腰の抜けた経営者に絶望し、気持ちが折れるように会社を去ってしまった……。

こういう情況に至っている場合、改革するよりも、この会社を潰して新しく設立し直した方が早くて確実です。

私がこの情況で相談を受けたら、やはりリセット(一度潰してしまう)を推奨すると思います。なぜなら、ここまでひどくしてしまった原因は、現地の幹部や社員ではなく、本社や経営者にあるからです。

実態が見えていなかったのか、気づいていたのに手をつけられなかったのか、手をつけたけれど抵抗派に負けたのか。どれが理由にしろ、組織づくりに失敗してしまったことは明らかです。この状態から改革を行うことは、もっと前の段階で改革を断行するよりもはるかに困難ですので、難度が改革の何十分の一で済むリセットを選択した方が現実的です。

清算と再設立は経済補償金など金銭的負担が大きくなりますが、黒字体質の会社をつくる機会は生まれます。赤字を垂れ流し続けるより健康的なはずです(そのまま撤退という選択肢も、もちろんあります)

どうしても潰したくないけれど何とかならないか、と相談された場合は、本社と現地の経営者が何を犠牲にする覚悟があるかで判断します。ストライキやサボタージュが起きた際、毅然と前に立てるか。万が一、お客さんに迷惑が及んだ場合でも、妥協せず改革を貫けるか。波状攻撃のように労働仲裁や裁判を起こされても、粘り強く戦い抜けるか。

すべてYesでないと、改革はとても無理です。全部Yesであっても、改革が成功するとは限らないのですから。

そして、これだけの改革を決意できる経営者には、こうお伝えします。「こんな割に合わない大変な改革を断行するだけの覚悟があるのなら、その覚悟とエネルギーを新しい会社に注ぎ、今度こそ、自立して成長を続ける組織にしてください」

それでもどうしても改革を行いたい、手伝ってくれ、と言われたら、私も逃げるわけにはいきませんが、リフォーム番組のように、「立て直しより面倒な手間かけて、ほとんど新築してるじゃないか」という仕事になります。日本側および現地経営者のリーダーシップも見極めます。

斬るか斬られるかのような死闘は避けられませんので、生半可な覚悟と準備では、生き延びられません。

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